アウトソーシングは、近年の人手不足を背景に、活用する企業が増加しています。アウトソーシングの活用を検討する際に悩むのが、「どの業務をアウトソーシングするのか?」を決めることではないでしょうか。今回はアウトソーシングの活用を検討する上で必要な考え方をまとめました。
どの業務をアウトソーシングするかを決めるにあたっては、まず会社にどんな経営資源があって、それらをどう配分するかを整理する必要があります。もう少し具体的にいうと、会社の将来なりたい姿を描いて、そのビジョンを実現するためにはどういった戦略が必要で、その戦略を実行するために自社の経営資源をどう配分するのが最適なのかを考える、ということになります。
経営資源とは、企業を構成するさまざまな資源のことで「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」「知的資源」「時間」などがあります。これらの経営資源を使いながら、会社は日々事業を行っているということになります。こう考えたときに忘れてはいけないのはこれらの経営資源には必ず『限り』があるということです。一日が25時間の人はいませんし、お金が無限に出てくる打出の小槌はおとぎ話の世界にしかありません。
企業は、利益や顧客満足度が最大化するように、いまある経営資源を最適な場所に最適なタイミングで最適な量配分していくほかないのです。
いまある経営資源を優先度の高いものから配分していったときに、ようやく足りない経営資源が浮き彫りになってきます。足りない経営資源を補う方法はいくつかありますが、今回のテーマであるアウトソーシングも有力な方法の一つです。足りない経営資源ごとにアウトソーシングがどのような意味を持つかを紹介します。
経営者の方とお話をさせて頂くと、「やるべきことはわかっているけど、やる時間が無い」という言葉をよく耳にします。日々忙しく仕事をする多くの経営者や社員のみなさんにとって、本当にやるべきこと(重要度の高い業務)のための時間を作り出すことが一番の課題だということも少なくありません。
こうした場面ではアウトソーシングが効果を発揮します。それほど重要ではないけれど、多くの時間を費やしている業務が必ずあるはずです。そうした業務をアウトソーシングすることで、重要度の高い自社の付加価値を生み出す仕事に集中することができます。
「情報」は現代の経営において非常に重要な位置にある経営資源です。経営資源としての「情報」に必要なのは、単なる情報量だけではなく、情報の質や情報の有効な活用方法といったものも含まれます。多くの情報を得るためにはコストがかかりますし、その中から良い情報を抽出するためにはノウハウが必要となります。
アウトソーシングを受託している企業はその道のプロです。専門的にその道に集中して事業を行っているため、我々が独自で収集するよりも質・量ともに桁違いの情報を持っています。こうした企業にアウトソーシングすれば、外部の専門家の知識やノウハウを活用することが可能となり、自社の業務を高いレベルに引き上げることが可能となります。
こちらも「時間」同様、「足りない」という声を聞く機会の多い経営資源の一つです。多くの企業にとって最も多い固定費は人件費です。そして人材の採用・育成には、多くのリスクが伴います。採用には時間と費用が掛かりますし、教育にも多くのコストがかかります。また、教育をしても思うような成長をしてくれるとも限りませんし、やっと一人前になった社員が退職してしまうという可能性も考えられます。
アウトソーシングでは、それらのリスクを回避することができます。専門の企業に業務をアウトソーシングするれば、その業務に携わる人材の採用や教育が不要になりますし、品質についても担保することができます。また、担当者の急な退職によって業務が滞るといったリスクも回避することができます。
アウトソーシングは、自社に足りない経営資源を効率よく補うことができる方法です。アウトソーシングを検討する場合には、「本当に足りない経営資源は何か?」ということを整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。