「もし8時間、木を切る時間を与えられたら、そのうち6時間を私は斧を研ぐのに使うだろう」
-エイブラハム・リンカーン(第16代アメリカ大統領)
最初の言葉は、歴代のアメリカ大統領の中でも高い人気を誇るリンカーンの名言です。闇雲に取り組むのではなく、事前によく考え準備することの重要性を示していますが、この言葉を我々の日々の仕事に当てはめて解釈すると、「木を切る」=通常業務、「斧を研ぐ」=業務改善、と言えます。みなさんは普段の仕事の中でどれだけ斧を研ぐことに時間を費やすことができているでしょうか。
業務改善というと大掛かりな改革というイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、現場において本当に必要なのは日々の小さな改善の積み重ねです。今回はすぐに取り組むことができる業務改善の考え方を3STEPでご紹介します。
3STEPのそれぞれについて詳しくみていきます。
業務改善を行う上で、最も重要なのがこの課題発見力です。課題の発見無くして業務改善は起こりえません。課題の発見というと難しく聞こえますが、困りごとや疑問をそのままにせず、しっかり認識することから始まります。「この作業ってもっと楽にならないのかな?」「この作業って本当に何かの役に立っているのだろうか?」「この作業できればやりたくないなあ」といったものを追及していくことが必要になります。
ゴール創造力とは、「こうなったら良いな」のゴールをイメージする業務改善のSTEPです。このSTEPで気を付けたいのが、「実現性の高い/低い」をこの時点で考慮しないことです。この時点で実現性を検討してしまうとせっかくの業務改善の可能性をすぼめることになります。どんなゴールを設定しても必ず解決方法はあると信じて、まずは理想のかたちを思い描くことが重要です。
問題解決力は従来、業務改善において最も重要視されてきました。しかし、現代社会においては問題解決方法が飽和している状態になっており、インターネットで検索すればリアルタイムで最新の問題解決方法が手に入ります。また、自分では解決できなさそうな問題だとしても、アウトソーシングといった外部への委託や問題解決が可能な人材の採用、M&Aなど選択肢は多様化している時代です。常にアンテナを張って最新の情報をストックしておくことが求められます。
発明王エジソンの逸話です。17歳の頃、エジソンは駅で夜間電信係の仕事に就いていましたが、「何事もなければ、一晩中1時間おきに信号を送るだけ」という仕事に飽きてしまい(=課題発見力)、1時間おきに電信を送りさえすれば自分は何をしていても良いということを考え(=ゴール創造力)、時計を使って電信機が自動で電信を送る機械を発明しました(=問題解決力)。
エジソンの最初の発明もまさに業務改善の3STEPに沿ったものになっています。
① 現状に疑問を持つ(課題発見力)⇒ 同じデータを複数箇所に打ち込んでいる。
↓
②「こうなったら良いな」をイメージする(ゴール創造力)⇒ 重複データは一回の入力で終わらせたい。
↓
③ そのイメージを実現できる方法を調べる(問題解決力) ⇒ 使えそうなExcel関数をインターネットで調べる。
Excelは簡単に取り組める業務改善の一つです。現状に疑問を持って、「こうなったら良いな」をイメージしたあとにインターネットで検索すれば、多くの解決策が見つかります。Excel関数の利用は我々の近くでも月8時間かかっていた作業時間が90%削減できた例もあり、手軽に始められて効果の大きい業務改善といえます。
業務改善は身近な疑問の追求から始めることができます。小さな業務改善の積み重ねがさらに大きな課題の発見に繋がっていきますので、少し手を止めて現状を客観的にみることから始めてはいかがでしょうか。